なぜ「事を憎んで人を憎まず」なのか
まずは、そもそもの故事成語として「罪を憎んで人を憎まず」の意味。
罪を憎んで人を憎まずとは、犯した罪は憎むべきだが、その人が罪を犯すまでには事情もあったのだろうから、罪を犯した人そのものまで憎んではいけないという教え。
なぜ、「罪」を「事」にして「事を憎んで人を憎まず」と考えるようになったのか。いや、去年ぐらいから、いろいろな事件が起こる度のモヤモヤの結果がありまして。
直近で言うと東京都から山梨県内に帰省した方が、新型コロナウイルスへの感染が判明した後、都内に戻ったことがわかったなんて事件がありました。
もちろんこの方については自分だっていろいろ指摘したくなることはありますが、とはいえ、療養して回復して欲しいです。まずはね。そして周りの人に謝る。それでいいじゃないですか。そして、他に誰か感染させてないかの視点で言えば、過程の可視化はいります、が、前回も話したんですが、これはPushでマス向けに送る情報じゃなくて、ちゃんとトラッキングされていれば、ターゲットとなる方にPushでおくる情報でしょう。
先日出演したモーニングCROSSでも「接触追跡」の話をしました。これがちゃんと出来上がってれば、わざわざ全員に向けてPushで可視化する情報ではない。
全員に向けて可視化してしまうと、現時点で直接の関係のないけど、非常に近い距離にいる第三者を疑心暗鬼にさせてしまう。それは、単純に心をマイナスの方向にもっていき、いらぬトラブルを巻き起こすから辞めたほうがいい。そういう意味では、この故事成語における罪は、新型コロナウィルスがターゲット。この罪を二度と起きないようにすることにおいて仕組みが不完全ならばそこを指摘して直していきましょう。次を産み出さないようにしましょうというのが大事。
他の例でいえば、芸能人が感染したあとに全員に向けて謝る必要もないのに謝ってしまう。それはどうなんでしょうか。確かにかかって周りに迷惑をかけたとしても、まずは回復してもらうこと。そして直接迷惑かけた人がいれば謝り、もし迂闊な行動があったとするならば悔い改めればよくて。
今回のウイルス騒ぎだけではありません。薬物まわりもそうですね。薬物にはまってしまった人を叩くのではなく、その薬物自体をターゲットにして、薬物にはまらないようにするための仕組みをさらにアップデートしないと、第2、第3の薬物中毒者がでる。いつまでたってもこの手のトラブルが解決されない。
去年だとでっちあげセクハラ騒ぎや、別の話でラジオで有名芸人さんの失言もありました。それも当人どう考えても悪い。でも、悪いから謝ってもさらに責めるじゃなくて、そこに至る状況＝事が起きないようにするためにどうするかを考えませんか？
もっと一般的に言えば、ミスがあったとします、なにかしらの。その時にミスの再発防止は仕組み化でやらないと。懲罰とか教育とかいう人にターゲットをおいた解決だと再発防止にはならない。個別の人にターゲットを置いて追い込むのは、以後の解決にならない。予防にならない。
一つの例として、ミスやらかしたところに報道陣が殺到するじゃないですか。確かにミスをするとこうなるんだぞという恐怖の抑制にはなる。ただ、個人的にそれはミスを許さない社会で寛容に欠ける。人は間違うものだし、その間違う量を減らす仕組み化が大事。人よりもミスが起こった構造=事に焦点を当てて、2度と繰り返さないようにするにはと考えるべき。
なので、人が主語にして事例をみない。罪というか「事」を主語にしてそれが起きないようにするにはどうすればいいか考えたほうがいい。
「罪」を「事」に置き換えて、「事を憎んで人を憎まず」というのが最近のわたくしの考えだったりします。もうちょい上手い言い方にしたいのだけど。
（ここからラジオで言及してないこと）結構、寂しい現実が検索のサジェストにありまして。いやもちろん、罪を犯した場合は償うのは大前提なんですよ。でも、重ねて、人は間違うものだからこそ、間違いが起こる仕組み=事を改善して、起こりにくくすることが社会をアップデートしていくと思うのです。
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このnote自体はそのラジオで喋る用の簡易台本のリライトです。
