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デジタル化におけるコスト効率化 そしてセキュリティは?/2020/11/16 #クロス 出演セルフまとめ

TOKYO MX「モーニングCROSS」に2020/11/16に出演しました。その際、オピニオンクロスで発信した情報のセルフまとめです。

テーマ「デジタル化におけるコスト効率化 そしてセキュリティは?」

政府の情報システム全体に責任 デジタル庁概要、是正勧告権も | 共同通信 政府は29日、来年設置するデジタル庁が手掛ける業務の方向性についての概要を明らかにした。縦割りの弊害... this.kiji.is
政府は29日、来年設置するデジタル庁が手掛ける業務の方向性についての概要を明らかにした。縦割りの弊害が指摘される政府の情報システムに関し、同庁が全体に責任を持って方針を策定することが柱。重要なシステムは担当者ごと各府省から移管し、運用までを担う。各府省に対して是正勧告を行う強い権限を持たせ、自治体システムの標準化に向けた作業にも関与する方向だ。

自分「デジタル化すると何が良いんだっけというお話から。端的にいうと、コストが無くなりますね。コスト=お金だけじゃないです。結局のところその仕事をするのにどれだけ時間をかけるかです。時間管理とも言えます。

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例えばハンコ。単純なお金で言えば紙代がかかる。時間で言えば、印刷する時間や承認のために席に行く時間(移動コスト)。ハンコを押すための稼働コストに、押す人の時間が固定されるコスト。あと、保管する場所のコスト、書類を探す時間もコストになります(検索コスト)。紙だとどんなに綺麗にまとめられていても大変。デジタルだと管理が行き届いていれば一瞬です。」

堀さん「まさに公文書の問題になったときは、その一連の過程で、全部はとっておけないし、1年未満の文書がエラーを起こしていたり...膨大な量なんですよっておっしゃってましたけど、そもそもipadでメモしたものがデジタルでアーカイブ化されていたりなんかしたら、官僚の皆さんのメモもそのまま公文書として保管できますよね。」

自分「今時手書きのメモだって、検索することが出来ちゃう時代ですからね。

ここまでの話は社内や特定の省庁など限られた空間だけについてでしたが、更に問題なのは『縦割りの弊害』。」

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自分「省庁で、全く仕組みが違ったら今度は『変換コスト』が生じてしまいます。これは民間企業でも同じこと。昔、Macで作ったファイルはWindowsで開けないとかあって、大変でしたよね。」

堀さん「Wordと一太郎とかね。」

自分「そうそうそう。変換するだけでえらい時間がかかってしまいます。『重要なシステムは担当者ごと各府省から移管し、運用までを担う』=デジタル庁に任せれば、コミュニケーション・費用・時間などのコストが減る。これが"標準化"ですよね。」

堀さん「ご専門の立場でどうでしょうか。いわゆるITゼネコンと呼ばれる大きな企業さん同士が色んな国のものをそれぞれ分担して仕組みを作っていたりするじゃないですか。ああいうところっていうのは融通が効きやすい業界なのか、それとも、各社違えば統合するときに大変なのか。」

自分「それでいうと、各社違いがあって大変です。一太郎とWordみたいに互換性があればまだいいんですけど、そうじゃない事例も多い。仕事上、自治体とお付き合いすることもあるんですけど、ルールや仕組みが違うといったことがあります。

更によく言われる話がありまして。自社内ではなく社外(違う組織)同士でのやり取りだと『セキュリティはどうなってるの?』ということ。」

堀さん「それは心配ですよね。」

自分「さて、ここでコミュニケーションに"セキュリティコスト"という概念が入ってきます。これを厳格にやりすぎるとどうなるか。

例に挙げたハンコで言えば、そのハンコは本当にその人によって押されているか、デジタル記録されたそのハンコは改竄されないのかどうかetc...厳格にすればするほどコストが増える。そうすると、紙と実印の方がコスト低いというオチにもなりかねない。というか、実印もセキュリティ的に考えると疑問符ですからね。

これは与太話ですけど、ハンコを機械化して指紋認証して初めて印影が出てくる「機械式ハンコ」を作れば、代印できなくはなりますが。

例えば、選挙もデジタル化全然進んでませんが、現行の選挙におけるセキュリティだって、そもそもいつ投票所で本人証明求められましたか?

セキュリティ意識を低くしようと言ってる訳ではありません。むしろ現時点で低いと思ってるぐらい。セキュリティとリスクの見積もりをバランスよく考えましょうという話なんです。具体的にどんな問題が生じるのかリスクを産出して、コストと見合うかどうかを判断することが大切です。」

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堀さん「紙で良いところは紙で良いという話ですか?」

自分「いや、紙で良いから紙を選ぶというよりは、リスクを算出してコストと見合うか判断することが大切で。例えば選挙のデジタル化の話でいうと、改竄されるかもしれないリスクがあります。ただ、例えば投票した後に印刷して全ての投票後に紙のデータを読み込んで照合するっていう手法があって。紙って改竄しにくいんですよね。

デジタル化の時に、上の人が『なんか怖い』『なんかめんどくさい』みたいな感じで曖昧なリスク判断をしてしまうことが辛い話ですね。

『もしセキュリティが破られたらどうなるか? 』から考える癖と、そこにかけるコストがあっているかどうかを常に自分ごととして考えることが大事です。」

堀さん「確かにそれ考えてないと、変なところに変なコスト積んじゃいますよね。どこにコストがかかるかって事前に分かっていれば、違う方法でやってみてじゃあこっちに予算積みましょう、とか出来るわけで。効率的な運営が、デジタル化に伴って出来ますよね。」

自分「何でもかんでもデジタル化は出来ますが、結局判断するのは"人"。コストやリスクを判断するのが肝になってきます。」

堀さん「システム統合やセキュリティの話で1番大変なのは銀行さんとかでしょうか。みずほ銀行も本当に生みの苦しみでシステム統合しましたけども。相当なコストがかかっているわけでしょう。」

自分「そうですね〜物凄いコスト。セキュリティ意識の話でいうと、家の鍵の仕組みはよく分かっているけど、ネットの鍵の仕組みはよく分からないなってあるじゃないですか。でも、分からないけどちょっとは調べてみようっていう行動から始めるだけでも『なんか怖い』をなくしていけます。」

堀さん「金子さん、どうでしょうか。」

金子恵美さん(元衆議院議員)「この前の菅総理所信表明演説の中で、5年のうちに行政手続きを全てデジタル化させて、どこの自治体に住んでいても同じように標準化、統一化すると仰っていましたよね。地方自治体や中小規模の自治体とかは、人材がいなかったりとか、セキュリティの意識があるのかということを考えると、5年で一体どのくらい出来るのかなっていう不安がありますね...。」

自分「各自治体ごとにやるのではなく、国単位で標準化した方が、この場合は全国に伝わると思うんですよね。」

金子さん「重要インフラ関連はセキュリティ対策を進めたじゃないですか。自治体も標準化が進めば、セキュリティも統一出来るということでしょうか。」

自分「標準化されるからこそ、伝わりやすくなると思いますね。」

堀さん「Twitterからハッシュタグで意見が届いていますよ。『クラウド上でデータ作って共有するだけなのに、デジタル庁を作ってそれからシステムを作りましょう、馬鹿げてるよ』『セキュリティ庁も必要ですか?』などなど...(笑)」

自分「そうなると、またコストがかかってきますよね。」

堀さん「まさに『なんか怖い』でリスク判断しないように、ということですね。」